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──世界標準時13:00、ワシントンは朝を迎えたところだ。
つい2時間前に襲撃されたヘキサゴンは、現在急ピッチで復興中である。出来るだけ早く復興させようと兵士達が駆け回る中、AMF総司令官『デビッド・クライスラー』は、ASA日本の東北支部司令官『神童 冬樹』と共に垂直離着陸の航空機に乗り込もうとしていた。
そこへ、斬龍隊隊長ハリー・フラタニアが駆け寄った。
ハリー「大佐、お体の方は大丈夫ですか?」
ハリーが心配するように、神童は体中を包帯に包まれていた。松葉杖をつきながら歩くその姿は、大丈夫とは言えないだろう。
だが神童は軽く微笑んで応えた。
神童「これくらいなら問題ないよ。それよりも、今は急がなくてはならないからね。心配してくれてありがとう。
──ああ、それと、君達斬龍隊はしばらくここで休んでいくといい。君達は十分に働いてくれたから」
そう告げて、離陸態勢をとっている機内へと入っていく神童。
ハリーは機体から離れると、敬礼して見送った。
機体が西へと飛び立っていく。見送るハリーの元に、輸送機で後から合流した佐田 不知火が歩みよってきた。
佐田「神童大佐は行ったか……」
ハリー「あとはあの人に任せるしかない。俺達の出番は終わりだ」
佐田「本当にそれでいいのか?このままここに居て、ただ見ているだけでいいのか?」
ハリー「佐田さん、貴方とは長い付き合いですが、もうわかってるでしょう?俺が何をしたいのか」
佐田「つまり、お前は軍人ではなく武人だ。そう思っていいんだな?」
ハリー「ええ」
佐田「よしわかった。なら俺は自分の仕事に取り掛かろう」
佐田が歩きだそうとするが、ハリーが呼び止めた。
ハリー「佐田さん、大石は?」
佐田「あいつなら、ずっとつきっきりだよ。顔には出さんが、心配しているんだろうな」
ハリー「そうですか……」
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