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相澤に『大石 輝彦』と呼ばれた男性は、申し訳なさそうな表情で言う。
輝彦「邪魔する気はあったんだが……」
大石「あったのかよ」
輝彦「ばれなければいいかなと」
大石「よくねえよ、確信犯かよ」
大石輝彦と大石遊弥の漫才のような会話に、力無く横になったままの相澤も笑みを浮かべた。
そして二人の顔を見比べる。
相澤「やっぱり親子ってそっくりなんですね」
大石「はあ?似てるのか?」
輝彦「似ているだろう、遺伝子的にもな」
輝彦は椅子を見つけると、大石の隣に並べて座る。
大石 輝彦は、大石 遊弥の父親にして、ASA日本九州支部司令官『大石 莇』の父親でもあり、そして大石財閥の現会長でもあった。
60代後半だと言うのに、その体は屈強で筋肉に衰えも感じない。まるで大石 遊弥とは正反対だ。
だが、顔の輪郭などは近いものがあるらしく、それでも遊弥ほどまとまりのない顔立ちでなく、むしろ男前なほどだ。
輝彦「どうしてこんな子になってしまったのだろうか?」
大石「ねえ、俺本気で傷つくよ? ──で、なんでここにいるの?ニューヨークにいたんじゃないの?」
輝彦「飛んできた」
大石「……は?」
輝彦「ジェットで飛んできたんだよ、ASAが派手に暴れてると聞いてな。まあ、やじ馬のつもりだったんだが、斬龍隊だと聞いて納得した」
大石「やじ馬って……。ってか何で納得したんだよ」
輝彦「馬鹿だからな、斬龍隊は」
大石「息子の部隊に対して厳しくない?」
輝彦「いや、息子がいるからこそ馬鹿なんだ。でなきゃ今の時代に正義を語って敵陣に乗り込む奴なんていないだろう」
大石「まあ、そうかもしれないけどさ……」
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