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知樹が来たのは電話してから一時間後だった。
僕は知樹にメールを見せた。
「携帯の端末から住所とかわかったりすんの?」
「わからない。でも住所を知られたら大変なことになるのは確実。」
「やばいなあ…」
「とにかく、この前言ったように謝ってみな?」
「わかった!」
僕はメールを打ち始めた。
「相手は必ず疑って、身分証明書を見せろって言ってくる。」
「それって住所も見られるんじゃない?」
「もちろん相手に見せるのは偽造したもの。簡単に個人情報をバラすほど馬鹿じゃない。」
さすが天才…
心の中でそう思った。
そうしているうちにメールが完成した。
「できた。これでどう?」
【先日登録しましたが、未成年なのに18歳未満利用禁止というのを見忘れていて、登録してしまいました。
だから退会をお願いします。】
「いいかな。」
「よし!送信っと。」
メールを送信した。
さっきのメールで、すっかり忘れていたが、もう一通メールが届いていたことを思い出した。
「真希だ。」
【昨日サワちゃんに話した友達に、サワちゃんのこと言ったら、会ってみたいって言ってたよo(^▽^)o
会ってみる?】
あの曲を歌ってる子か…
会ってみたいかも。
「真剣な顔してどうした?」
僕は知樹に一部始終を話した。
「それってチャンスじゃねえ?」
「え!?僕はただ、その子の曲が好きなだけで…その子が好きかはまだわからないわけで…」
「バカ。そういう意味じゃない。この問題を終わらせる良い作戦思い付いた。」
知樹は笑みを浮かべた。
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