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真っ白だ。
それしか言葉が思いつかない。
前後左右どこを向いても真っ白な空間がそこに広がっていた。
真っ白な空間は距離感がつかめない。
一見限りなく広がっているように思えたけど、もしかしたら角が見えないだけで室内なのかもしれない。壮大そうなこの空間に、俺はそんな窮屈さも感じていた。
何処までも続く真っ白な空間は何処までが床で、何処からが天井なのか? その境界線すら真っ白に塗り潰されていた。
もしかしたら、白い空間に立っているのではなく、俺は白い空間の中に浮いているのではないか? 音も無く重い空間の中で何となく感じる浮遊感から、俺はそんな錯覚も感じていた。
そんな真っ白な空間の中――俺と少女はそこにいた。
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