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「おい!そこのフード被った根暗ぁ!!そいつをこっちに渡しな!」
おやおや、女性はそのように乱暴な口をきくものではありませんよ。それに根暗って……少々へこみました。
「そうだぜてめぇっ!そのバカが酔ってオレらにつっかかってきたんだからよぉ!!」
そう言われてみればこの男からは酷く酒臭い匂いがしますね。このような真っ昼間からお酒とは……。しかも、どうやらこの男の方が悪いようではありませんか。…仕方ないですね。
酒臭い男を二人組みに渡そうと男を立たせた時、この男が意味不明なことを口走りやがりました………失礼。口走ってくださいました…これも変ですね。口走りました。
二人組の方を向いた男が私を指差してひとこと…
「こ、コイツにやれって言われたんだっ!」
…………はい?
この酔っ払いの頭はとち狂ったのでしょうか?どこからどう見ても私の筈が……
今の服装……、黒いローブを着てフードで顔を隠している。それから求められる結論。それは…
「根暗ぁ!!てめぇが差し向けやがったのか!」
「そういやコイツ、ローブなんか着やがって、怪しすぎるだろうが!ジーナぁ!!コイツやっちまうぞっ!」
「あぁ!」
確かに怪しい格好ですけどねぇ………この方達の頭はネジの一本や二本、トんでるんじゃないですか?
そう思ってるうちにあの酒臭い男は裏道に逃げ込んでしまいました。……………あぁ、イライラしますねぇ…
そして私の横にいた筈の彼女もいつの間にやらどこかへ消えてますし……
ギリッ…
微かな歯軋りをして、目の前で起こっていることを鎮めるべく行動を開始します。
「すいませんが、少々話しをきいて」「おらあぁぁっ!!」
まさかのいきなりのパンチですか。まぁ、もちろん片手で止めさせてもらいましたが。
殴りかかってきた男性は少し驚いた表情をしてジーナと呼んだ女性の元まで下がります。
「だから、ちゃんと私の話をきいて」「てめぇ!少しはやるようだな!」
…また話を遮るんですかあなたは………
「はぁ…私はあの男性とは何も」「バンスッ!あの根暗を囲むよ!」
………また…ですか。それにどうやら周りの野次馬達も二人組の方に正義を見たのか応援を始めました。……………そろそろ限界ですねぇ。
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