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「ふぅ…」
二度目の溜め息。最近相手が貴族ばかりなので妙に肩がこります。
肩をローブの上から手で揉みほぐしていると…
「あら、運び屋さん。」
……変ですね。先程も同じような声を聞いた気がするのですが。
声に導かれるように横を向いて見ると………〝彼女〟が佇んでいました。
「奇遇ね。」
私にそう告げながら向かいの席に座る彼女を見てひとこと。
「…追けました?」
後を追うように来た店員さんに注文をし終わった彼女はこちらを見つめてきます。
ジーー…
「……………」
ジーー…
「…………うん。」
「ここまでためる必要ありました?」
「ないけど。」
…そうですか。
「はぁ…それで?何かご用ですか?」
するとどうでしょう。彼女が何やらモジモジしはじめたじゃありませんか。
頬も僅かながら赤らみを増してきたような気がします。
…何やら嫌な予感が
「あなたのこと、もっと知りたかったから………ダメ?」
的中です!!
「ダメです。」
そのままいじけるように頬を膨らませた彼女は「ケチッ!」とひとこと。
「ケチじゃありません。そういう契約のはずです。あなた達ギルド側は必要以上に私に干渉しない約束でしょう。」
「それはそうなんだけど…。流石に名前くらい教えてくれても…」
そこでちょうど良く注文した品が運ばれてきました。ナイスタイミングです名も知らぬ女性店員さん。
オススメの品と言うのはカルボナーラでしたか。黒胡椒のスパイシーな香りが食欲をそそります。
そして向かい側にも同じカルボナーラの皿が…
「あなたと同じの頼んじゃった。」
もう気にしません。
そのまま無視して食べようとした所で待ったがかかりました。
「食べる時もそのフード被ったままなの?」
その手にはのりませんよ?流れでフードを脱ぐようなミスはいたしません。
もちろんこれも無視です。
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