運び屋

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そのまま黙々と食べ始めた私を見て彼女も悟ったのでしょう。無言のまま彼女も食べ始めました。 …それにしても、彼女には困りましたね。何故私などに興味を持たれるのでしょうか。 私が見つめる先には黙々とパスタを頬張る姿が… …ま、いずれわかることでしょう。 私はそこで考えることを止めて食事に集中しました。 ………………… 「ふぅ…美味しかったです。」 「そうね。」 …………………? 何か聞こえましたね。 「………………。」 「………………。」 「気のせい」 「じゃないわよ!」 …面倒です。 「はぁ…まだ何か用があるんですか?」 昼食を食べ終え、店を後にした私は未だ人の喧騒が止まぬメインロードを歩きます。少し遠くを見上げてみれば街の中心に建つ年季の入った古城が否が応でも目に入ってしまう。 そして、横には…… 何故だか私の手(手袋)を握って離さない彼女が歩いている。 何かを考えるように頭を傾げる姿は年下の可愛らしさを彷彿とさせます。 「特には…」 それだけ考えた結果、特には…と言うのは……はぁ。 …ん? 前方から魔力の高まりを感じます。道の一角を囲うように並ぶ野次馬を見るに喧嘩のようですね。 「喧嘩みたいね。」 「ええ。」 彼女も気付いたようです。声色に多少の真剣味が帯びています。 …ですが、私には何ら関係のない話しです。 そのまま野次馬達の横を通り過ぎようとした時、運の悪いことに事態が動いてしまったんです。 一人の男が空を飛んでいます。……こちらに向かって。 どうやら喧嘩相手に殴り飛ばされて野次馬を越えてきたようです。 全く、邪魔ですね。 飛んできた男を片手で受け止めた私は男を通りに置いて何もなかったかのように歩き続けます。 隣にいる彼女が驚いているようですがそこはまたスルーで。 ガシッ… 過ぎ去ろうとした私の脚を誰かが掴んで離しません。 「あ、アンタ助けてくれよ。」 先程飛ばされてきた男が泣きついてきました。……はぁ。 また隣を見てみれば彼女もどうやら困っている様子。 どうしますかね。 そのまま悩んでいると野次馬をかき分けて男と女が出てきました。どうやらこの二人が喧嘩相手のようです。
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