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「この馬鹿力め…」
そう苦言を言ったのはクラフトだった。
戦いの最中で、キマイラにダメージとして致命傷を与えていたのは、常にレオンだった。
誉め言葉とも、貶し言葉ともとれるその言葉はレオンに向けて放たれたものである。
「…一度死ぬか?」
レオンは「貶し」と捉えたらしく、地に尻を着いたままのクラフトに近づきながら指の骨を二、三度鳴らす。
「お前への誉め言葉だよ」
そう介入したのはゼファイス。
服についた砂や汚れを手で払い落としながら、身なりを整えそう紡いでいた。
「…そうなのか?」
レオンは基本「素直な腹黒」である。
その言葉に乗っかるクラフトは、胸ぐらを掴まれながらも、頭を上下に勢い良く振っていた。
「なら許す」
そう言って、クラフトを放した。
そう、放したのだ。
「ぐぇ!?」
軽く宙を浮いたクラフトは地面に落ちて、潰れたような声を上げた。
「さて、死体を回収しにいくか」
落ちるクラフトに目もくれず、何やら空に浮かぶ光に透ける長方形の板のようなものを見つめてそう言う。
「ん?
なぜデータベースなんか調べている」
レオンは心底不思議そうにそう問う。
「聖の居場所を検索してるんだろ!」
クラフトは突っ込むようにそう言う。
そんな突っ込みを無視して、ゼファイスはデータベースと言われた光の板を指でタッチしては、調べ続ける。
「と、言うかだ…」
と、急にクラフトはレオンに食って掛かる。
「なんだ?」
「お前に思いやりはないのか!?」
「重い槍?
威力が高いなら持ちたいな。」
クラフトの言うニューアンスとは違いがあるが、いたって真面目な顔でレオンはそう返した。
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