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「いきなり何を言うか、レオン!」
彼はそう突っ込もうと、レオンと呼んだ長身の青年に近づこうとしたが、グイッと袖を引っ張られる。
「やめとけ、死ぬぞ。」
止めたのは、眼鏡をかけたつり目の青年。
「止めるな、クラフト。」
そうつり目の青年に告げると彼は腕を剥がし、レオンに近づくが…
「…」
「うっ…」
狂気に満ちた無機質な瞳で、威圧するレオンに彼は動きを止めた。
「どうした、突っ込むんだろう?」
一部始終を黙って見ていたゼファイスは、冷ややかな瞳で彼を一瞥すると、そう告げて…
「所詮はその程度か…」
ため息と共に瞳を閉じて諦めた声で、そうくくった。
「いや…あの…」
歯向かっても勝てない事を知っているこの面子に、彼はばつの悪そうな声で言葉を探していると…
「ちなみにお前は打ち合わせ通りに、聖(ひじり)にしたんだな?」
ゼファイスは彼に切り返しの別の話題で確認をする。
「あ、ちゃんとそうしたッスよ。」
聖はそう言うと、自分のカッコや周りを確認して…
「すっげーリアルッスね。」
そう繋げた。
「うむ、今世紀最強のリアリティーヴァーチャルゲームってフレーズは、嘘じゃないな。」
ゼファイスは腕を組んで「うんうん」と頷きながら、満足そうにそう紡ぐ。
「風の匂いが俺的に感動すら覚えた。」
クラフトはそう言って、大きく息を吸う。
「確かに…」
聖はそう紡いで辺りをキョロキョロしながら、世界を確認する。
レオンはそんな聖を別に、ある一点を見つめているだけで、何も語りはしない。
「レオン、どうした?」
そんなレオンに気遣うゼファイスは、レオンの見る先を見つめる。
「あ…」
そう言って、ゼファイスは一度言葉を止めて…
「散れ!」
と、いきなり叫んだ。
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