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ひとしきり頬のほてりを手の冷たさでクールダウンさせているといつの間にか学校に着いていた。
「………」
キョロキョロ辺りを見回してみたものの、知り合いは見当たらないので俺は早く教室に行くことにした。
周りには固まって歩きながら談笑する仲良し男子アンド女子共の姿や、俺と同じく少し緊張した面持ちで独り教室に向かう奴らなどがいる。
私立孝栖(コウセイ)高校。
この高校は県内でも有数の名門私立高校だ。
イマドキ高校生が望むような基本自由な校則と大学のような近代的な校舎、そしてなによりデザイン製のいい制服が功を奏して毎年倍率が目を背けたくなる程のものになる。
……ん?『じゃなあなんでお前が受かってるんだ?お前俺らと同じ普遍普通凡庸人間じゃないのか』…って?
ああ、それはな…
「あーっ!この馬鹿こー吉!!」
なあ、突然だけど手提げカバンってあるだろ?そうよく革で作られてるような。
それって入学初日には何も入ってないだろ?大抵男女問わず、骨が折れて腕吊ってる奴以外は誰でも片手で振り回せるよな?うん。
え?それがどうしたって?
はは、どうしたもこうしたも
「ゴッ!」
思いっきり後頭部に手提げカバンの金具が当たった音が響いたんだよね。廊下中に。
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