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「おい、おい!…奈々魅!…奈々魅!」
なるべく小声で俺は登校初日の学校の廊下で幼馴染みの手をとるのだが…これがまたさ…物凄く恥ずかしいんだわ……。
あーもー、こんなことならからかわなけりゃよかった……目立ちたくなかったのがアダになっちまった……ちくしょう。
「おいおいっ!…すまんっ!さっき言い過ぎたっ!ごめんっ!」
俺は引き続き手を掴んで小声ながら謝る。だが奈々魅は唇を噛んだまま動かず、背筋に嫌ぁなものが突き刺さる。
「………」
返事がない、ただの幼馴染みのようだ。
ってパロディをかましてる場合じゃねぇ!とにかくここから逃げないと……あれ?これもなんかのパロディだっけ…いやいやいや!落ち着け!落ち着け、俺!素数…素数を……って、あああああぁ!!
「奈々魅!すまんっ!!」
「えっ!?えっ…わ…ちょっ!何やって………ひゃあああ!馬鹿っ!!」
俺は素早く奈々魅の腕を掴んでいた手を右足に渡し、体を回転させつつしゃがみ込む。どうでもいいけど生足の感触がなんか色々ヤバい。
後頭部近くから発生する奈々魅の声からは喧々囂々な非難の嵐だが、気にしちゃられない。
だって今からやることは俺の黒歴史上のノルマンディー上陸作戦になるんだぜ?
この高校での……青春………終わったな…ってな、フフフ…
「みんなァ!俺を誤解しないでくださぁぁぁいぃぃ!!こいつただの幼馴染みなんですぅぅぅ!!!」
「なっ!何言ってんのよぉおおぉぉ!?」
俺は走った。涙が涸れるまで。
校内限定だけど。
(ノルマンディー上陸作戦→第二次世界対戦中の史上最大の作戦)
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