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この子は人と話すのを嫌う
怖いのだという
「あぁあ私もあんたみたいに生まれれば良かった」
バカなことをお言いでないよ
小さく笑んで
首をふる
だって私はしゃべれないもの
しゃべれないのにこの子は私にきがついた
目があったとき
あれは白い花の咲く頃
泣きわめいて走ってきて
私の後ろにかくれたの
あれからこの子は大きくなったけど
私はしょせん大きくなれない
なろうと光に手を伸ばしても
気付いただれかにかちかちとおさえつけられる
おかげできれいなままでいられる
でもまぁ余計なお世話だったりする
私の低い背丈ではもうこの子を隠せないのだけど
この子はかわらずここにくる
大きくなった体をまるめ
私の後ろに隠れるの
居場所なんだとこの子は言う
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