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「剱……」
ソルが傷だらけの親友を沈痛な面持ちをしながら見やる。かなりの重傷を負っていても、決して倒れようとしないその姿に、シンは辛い気持ちから思わず目を逸らした。
そんな剱とは対照的に、婆紗羅は鋭い牙をちらつかせながら、彼は第二撃を放とうとしていた。しかしその時、婆紗羅のマスターゴーストの体に、一筋の亀裂が生じた。
「っ!?」
「……」
マスターゴーストの異変に、パラダイムが冷静な目で判断し、達した結論を口にした。
「マスターゴーストは、その者自身の魂だ。そのマスターゴーストの体に亀裂が生じていたという事は……」
「彼の形態変化は……いや、彼自身の改造自体が失敗だったという事。おそらく今の彼は、自らの破滅を望んでいるのだろう」
パラダイムの言葉に付け足すように捕捉するGEAR MAKERの言葉に、シンは沸き上がる怒りを露にした。
「自らの破滅だぁ? テメェで今回の出来事を起こしといて……何が破滅だっ!! テメェなんざ、どうなったって知った事じゃねぇよ」
シンの気持ちはよく分かる。誰も婆紗羅を哀れむつもりは毛頭ない。しかし、今の婆紗羅の変貌した姿を見る度に、辛い、という感情が沸き上がる一部の者がいるのもまた、事実であった。
すると、イノが不敵な笑みを浮かべながらクロウの元へ歩み寄る。
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