えすぷれっそ

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 ゆめの親にいつか会えたら、色々言ってやりたい。いやその前に、会った瞬間八つ裂きにすっかも知んないけど。  そんで、あんたらの娘は凄い女よって。自慢してやるわ。  小学生の時、私を庇って同級生に泥を投げられても。中学生の時、電車で何度痴漢にあっても。こないだまで付き合ってた恋人に、お腹と背中をボコボコに殴られても。  ゆめは決して泣かなかった。あたしの前では。弱音は吐いてくれるのに。泣いてはくれない。  ゆめが泣くのは、あの三人の男の前だけ。  親友だなんて言ってるけど情けないよ。泣かしてやるほうが我慢させるよりきっとずっと難しいのかな。  いつも、助けられてばかりでごめんね。 「まぁた泣きそうな顔してる」 「えっ?」 「折角頑張って綺麗になったのに。台無しだよ? ほら、スマイルスマイルっ」  そう言って、綺麗な栗色の瞳で私をじっと見つめ。左手で私のほっぺたを軽く引っ張る彼女の笑顔はなんとも愛らしくて。超可愛い。きっとあたしが男だったら、飛び付いてキスしてる。  ゆめにつられてとびきり笑うあたし。 「はあ、カナちゃんが男だったら良かったのになあ」 「はい?」 「そしたら付き合うもん」 「イヤよ。こんなに美人でセクシーな女の子が彼女なんて。他の男に触らせたくなくて監禁しちゃうかもよ」 「ぶふっ。それ、間宮くんも昨日同じ事言ってたっ」 「うそ」 「別に私美人じゃないよお。普通普通。中の中くらい?」 「世の中のブスに謝れ!!」 「ひええ?! なんでー?!」  特にあたしがゆめに対して羨ましく思ってるのは、その煌めくサラッサラの茶の髪。染めてもいないのにこんなに綺麗な茶色なんて本当に羨ましい。
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