23人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうだよねえ。間宮くんお酒飲むと人格変わるからなー。他は完璧なのにね。なんかでストレスたまってるのかなぁ~。」
間宮の事は好き。でも、酔った間宮は微妙。
そう、あの時もあいつは酔っていた。あたしが飲ませた訳じゃ無く。間宮はただ普通に酒が好きなんだろう。
しかし毎回記憶が無いっていう事実を反省し、そろそろきちんと禁酒した方が良いと思う。
まあ良いか。もう関係無いし。ゆめとはこうして私の家か外で会えば、良い。きっともう間宮には会わない。少しずつ、忘れていくべきなんだもん。
「さて、そろそろ出ますか。“ゆめちゃん”」
「“はいっ。了解です。カナちゃん”」
私とゆめの間には、中学の時に決めた条例がある。
二人の友情に誓った約束。
他人の前ではゆめはなるべく敬語で話す事。そして私は、ゆめをちゃん付けで呼ぶ事。
意味の解らない決まりだけど、未だに守っている。まあ小学生の時に考えたものだから、意味がわからなくて当然なのかも知れないけど。
でも私達にとっては 化粧後の起動スイッチのような。オンオフを切り替える為の合言葉のような。強い鎧を身にまとう為の、魔法の決まり事なの。
こんなの子供っぽいし、もういい加減に何もそんな事こだわらなくて良いと思うけど。でもゆめが私にしかタメ口で話さない姿を見てしまうと、唯一特別扱いされているのがわかって凄く嬉しくなる。だから私も止められない。
「あー前も言ったけど、間宮達は他人じゃないんじゃないの?」
「家族だって他人だよぅ。そうやって線引きしなきゃ。三人の彼女になった女の子が可哀想でしょ? 同じ年頃の娘が一緒に住んでるってだけで、私だったらハラハラしちゃうもん」
「小悪魔め。ホント、ゆめって変なとこタフよね」
「ふふっ。あ、カナちゃん今日も撮影?」
「ううん。今日は新しい舞台の顔合わせ。やっと役が決まるの」
「あっそっかーっ。良かったねっ。ヒロインだといいねっ」
最初のコメントを投稿しよう!