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僕は、悲しいほどに、痛いほどに、涼介の事が好きだよ。大好き。
けど、パパは涼介の事が嫌いみたい。
それに、僕はパパやママがくれる物なんていらないよ。
だって、それは僕をココに留めさす為の首輪だもん。
僕が欲しいのはただ一つ、君からの愛なの。
だから、パパ達が繋げてる鎖なんて引きちぎって、叱られるほど遠くへ連れ出してよ。
もしキミが連れ出してくれるなら、僕は何も持たず、制服だけでかけていくよ。
だから、魔法よ時間を止めて…?
「…逃げ出したい…。」
もう、こんな生活はイヤだ。
すると、さっきまで僕の頭を撫でていた涼介は手を止めて言った。
「そうだね…。俺たちって、まるでロミオとジュリエットみたいだもんね。」
「ヤだよ、ロミオとジュリエットって結ばれ無いじゃん…。」
結ばれ無いなんて嫌だ。
「ふふふ、そうだね。…じゃぁ、俺達はロミオとシンデレラかな?」
「うん!それがいい!…けど知ってる?シンデレラは嘘つきなんだよ?」
「へ?そうなの?」
彼はいつもより少し間抜けな声で言った。
「うん。だってシンデレラは、自然にガラスの靴を落としたんじゃなくて、ワザとガラスの靴を落としたんだもん。」
きっとシンデレラは、嘘を吐いてまで王子様に愛されたかったんだと思う。
それは僕も同じ。
涼介に愛されるためなら、どんな嘘だって吐くだろう。
「だからね、シンデレラは最後オオカミに食べられたんだって。」
「…それは、この状況と同じだね。」
涼介は少し笑いながら、ギュッと僕を抱きしめた。
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