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それからまた、数日が経った。
あれから裕翔は、俺と目を合わせると、スゴい勢いで目をそらすようになった。
ー…俺最近、嫌われ者だな。(笑)
山田も最近、元気が無い…。
そんな、ある日の出来事だった。
バイトも無事終わり、
「あざしたぁー。」
裏口から出た時…
「…ッ……ハァッ……ひかッ……光くんッ…!!!」
「?!!ど、どうした?!」
今日は休みだった裕翔が、息を荒げ涙を流しながら、俺の名前を呼んだ。
「…ウグッ…ごめんねッ!!……ウゥッ……ごめん……ッ!!」
「だから、どうしたんだよ?!俺が相談にのるから!」
「ウゥッ…あのねッ、グスン…光ッくん…」
「…ッふざけんなよッ!!!」
裕翔が、次に発した言葉を聞いた瞬間俺は走りだした。
『…薮くんッ…グスン……実はもうッ……
危篤状態なのッ……!!!』
意味がわからなかった。
危篤状態ってどういう事?
なんで今まで俺に黙ってたの?
聞きたい事は沢山有ったけど、裕翔は薮が入院しているらしい病院の場所だけ言って、俺に謝り続けた。
走りながらも、思ってた。
本当は危篤状態っていうのも、別れてほしいっていうのも全部、全部嘘で今裕翔が言った病院の病室で、薮は【ドッキリ大成功!】なんて書かれた、紙かなんか持っていて俺が驚くのを、楽しみに待っているんじゃないかって。
けど、現実はそんなに甘くなくて…
「薮ッ!!!」
俺がそう言って、病室に入ったら
ピーーーーーーーーー…
という、機械的な音と、薮のお母さんと山田のすすり泣く声だけが響いていた。
薮は…、
俺と別れた時よりずっと、痩せこけていて疲れきったように、寝ていた。
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