† 今もこれからも†

3/11
前へ
/226ページ
次へ
「乃愛が?どうして?」 「どうして?って聞かれたら 困るな… 連れて来てくれない?」 「ママの目が見えなくなったら…ママが行きたい所は 連れてってあげるよ…」 「ありがとう…今日は…ちょっとだけ その場所に立って… ママ…昔を思い出したいから 付き合ってね… その後 美味しい物 食べて…乃愛の欲しがってたもの… 買いに行こう」 「ウン」 目的地へ着き 私は辺りを見渡した。 (やっぱり…来ていないかぁ……) 冬馬らしき 人も車もなかった。 「ママ、ここが…思い出の場所? 何にもない所やのに…?」 不思議そうな感じで私を見る乃愛。 「何もないけど… 思い出がいっぱいあるの… 今、何時かな… 携帯も時計もないから わからないなぁ…」 すると…冬馬が乗っていた車が 近くに停まった。 (冬馬…………) 私からは 冬馬の姿は見えないが 車からは 私達が見えるはずだと思い 私は 乃愛の腕を掴み 冬馬の車が停まってる方向へ 乃愛を向けさせた。 「乃愛、この場所には おまじないがあるんだよ… この場所で ニッコリ笑ったら 凄く良い事が起きるおまじない… 乃愛…ニッコリ笑って…」 まだ 8才だから そんな嘘も通じたのか 乃愛はニッコリ笑った。 「ママ、トイレ行きたい…」 「トイレ?あっ…そのコンビニで トイレ貸してもらう?」 「ウン、乃愛 1人で大丈夫…行ってくる」 そう言いながら コンビニへ走って行く乃愛。 乃愛が居なくなったのを 見計らって 冬馬が車から降り 近付いてきた。 (冬馬…………) 張り裂けそうな思いで茫然と立ちすくむ私だった。 数ヵ月ぶりに会う冬馬は 少し 白髪が増えたようだが 他は全く変わってなかった。 「久しぶり…何で 連絡 閉ざすねん… 携帯は繋がらんし… 目…見えてるよな?」 私はコクリと頷いた。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1202人が本棚に入れています
本棚に追加