† 今もこれからも†

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冬馬の言葉に 一瞬 このまま 戻りたい気持ちも 正直あったが 莉子達の事も含め 奥さんの病気の事が やはり 自分の中で 以前のようには 戻れない気持ちがあった。 「冬馬…ありがとう。 ずっと そんな想いで 待っててくれて… 冬馬の事…嫌いじゃない… 嫌いになんかなれない… 嫌いになれたら…って逆に思うぐらい… 冬馬の事……… でも、やっぱり 元には戻れない… あの日 約束した 1年に1度だけ これからも… 乃愛の成長だけ 見てあげて… って言っても 乃愛が成長するにつれて いつまで 一緒に行動してくれるか わからないけど…」 『もう、本間に無理なんか?』 「ゴメン………」 この時 私は ふと莉子達の事を思った。 『分かった…体… 無理するなよ… また…乃愛の誕生日… 絶対 行けるとは 約束出来ないけど 行けたら 行くから』 「ウン…」 涙が 溢れて言葉にならない私とは真逆に 冬馬は 笑いながら 『拓馬と莉子ちゃんが 結婚したら お互い 親族になるな… 何かあれば 1年に1度じゃなく 何回も会えるな… やっぱ 結婚してもらった方がいいな…』 あまりに 単純な考えに 泣いてた私の涙は止まった。 「冬馬って…本当…単純… もし…そうなっても 私達の事…バレないように… 気をつけてよ… でも…冬馬に話せて良かった… 私達が叶わなかった事… 莉子と拓馬くんに託 すのも…良いかも…」 『叶わなかった…って過去形やな… 俺は今でも 現在進行形なんやけど… いつか叶う日が来ると信じて待つよ』 「冬馬…」 冬馬がそんな風に言っても 実際は もう叶う事はないと 私は思っていた。 乃愛の誕生日に また会う約束をして 電話を切った。
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