† 光 †

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2013年 4月1日 「ママ、後…3段で階段 終わり…ゆっくりね………」 乃愛の手を握り 白い杖で探りながら ゆっくり 駅の階段を下りていた。 そう…私は光を失った。 1ヶ月前 突然 失明した。 医者に宣告されてた事が まさか、本当に やってくるとは… だが、もしかしたらという心構えがあったので ショックはショックでも 少し クッションを置いてだったからか 気持ちの切り替えが早かった。 失明してからは やはり 日常生活が こんなにも 大変かと思うぐらい 1人では全く 何も出来ないでいた。 住み慣れた家でさえ 他人の家かと思うぐらい 何処に何があるかも分からず 手探りで まるで 赤ちゃんのように ハイハイをしながらの毎日だった。 まだ、目が見えてる時に ネットで 視覚障害者の投稿などを 読んだ事があり いきなり 見えなくなる事で 生きてく気力を失ったり 家族に負担をかける為 やはり自殺などを考える方も たまに 見かけた。 実際…自分が本当に 見えなくなって 確かに 負担をかけすぎてる事で その日によっては 落ち込む日もあったりしたが 見えてる間に 情報収集してたので 1日も早く 自分である程度の事が 出来るようにと 前向きな気持ちでいた。 視覚障害者に対しての支援や訓練など ある事も知り 頑張れば 仕事にも 就ける。 そんな希望を持ちながら まだまだ 家族に支えてもらいながらだが 日々を過ごしていた。 そして 乃愛の誕生日 私は冬馬と約束した場所へ また 今年も連れて来たのではなく 乃愛に連れて来てもらっていた。 外へ出るのも 1人では 今は無理なので 久しぶりの外出だった。 家でも まだ大変だが 外は想像以上に大変で 何もかもが危険と隣り合わせだった。
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