† 光 †

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「ママの初恋?えっ?いくつの時?」 「いくつ…だったかな… おじさん、まだ居る?」 「ウン、ずぅーっと…こっち見てる…」 「そっか…どんな顔してる?」 「えっ?顔?猿に似てる………」 「やだぁ、乃愛ったら そうじゃなくて 笑ってるとか 泣いてるとか 怒ってるとか… 表情………けど…猿………って…」 私はクスクス笑った。 (冬馬…乃愛から見たら アナタの顔…猿顔に見えるみたい… そういえば…今 思い出したら 猿に似てたかも… 冬馬…今…どんな思いで 私達を見てるのかな… 冬馬…こんなに近くにいるのに アナタが見えない… こんなに近くにいるのに アナタの声も聞けない… 冬馬…) 「おじさん…ん~?難しい表情…笑ってないし…泣いてもしてないし…」 (冬馬…アナタも困惑してるよね…こんな姿 見せたら… アナタを困らす為に 会いに来たんじゃない… 乃愛…大きくなったでしょ… でも…もう、これが最後になるかも… 目が見えてたら 会いに来れるけど やっぱり…目が不自由だと…大変… 冬馬、しっかり乃愛を見といてね…) 私は心の中で呟いた。 「乃愛…じゃあ…ニッコリが無理なら おじさんに会釈して…」 私は見えてないが 冬馬に向かってニッコリ微笑んだ。 「あっ、私 今…頭 下げたら おじさんも 頭 下げたよ…やっぱり…おじさん、ママの初恋の人かも…」 「そうかもね…乃愛、そろそろ帰ろうか…」 「えっ?帰っちゃうの? おじさんに…声かけたら…」 「いいの…もう帰ろう…」 「でも…何か、おじさん…寂しそう… このまま帰っちゃうの…可哀想…」 「いいから… 人違いだったら困るし… それに…何て話したら良いかわからないし… 話さなくても ママの思い出は消えないから このまま帰ろう…」 私は向きを変えた。
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