† 光 †

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「じゃ、ママ帰ろっか」 乃愛が私の手を握った。 「あっ、あの…そこの桜の木の下で…二人 写真 撮らしてもらえないかな… おじさん、写真…趣味で…」 「ママ…どうする?」 「乃愛、おじさんに ママの事 頼んだんでしょ…おじさんにお礼として 撮ってもらったら…」 「おじさん、いいよ…」 (冬馬…乃愛…今、アナタ達は どんな顔で見てるのかな… こんな奇跡みたいな 事…夢みたい…) 数枚を撮ると 乃愛が冬馬に話しかけた。 「上手に撮れるかわかんないけど ママとおじさん…撮ってあげる…」 「いいわよ…」 突然の事に私は拒んだが 乃愛は 私達を桜の木の下へ引っ張って行った。 「ママ~笑って… おじさんも… 撮るよ~」 乃愛と冬馬が 撮った携帯のカメラの画像を確認するような会話をしていた。 「乃愛ちゃん…携帯………小学生は持ってないか…?」 「ウン…」 「じゃあ…写メ 送るの無理だな…」 「おじさん、私とママ…毎年…この日…この場所に来てるから… その内 携帯も持てるようになると思うし、 おじさんも、また来年とか来れたら来て…」 「乃愛、もう…来年は…来ないよ…」 「何で?」 「ママ…目が見えなくなって…やっぱり…ここまで来るの大変だし…」 「今日、来れたんやから 来年も来れるよ…私が連れて来てあげるって…だから…おじさんも、来れたら…また来てね」 「また、会える事…楽しみにしとくよ」 (えっ?本当に…これは夢じゃないの? こんなに…話しが進んで… どうして?何故? でも…嬉しい 本当に…こうして 3人で会えるだけで 本当に嬉しい…) あまりの展開に 私は夢を見てるようで 夢なら醒めないで欲しい…そう思っていた。 「ママ…帰ろう… おじさん…ありがとう。 また、来年ね…」 「ママを大事にしてね…また来年 楽しみに待ってるよ…」 私は言葉が出ないほど感動していた。 (伝えたい言葉はたくさんあるのに…)
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