† 光 †

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私は 会釈をして 乃愛に誘導され 駅へ向かった。 電車に乗り まだ さっきの出来事が 信じられないぐらい 心の中は浮わついていた。 「ママ、あのおじさん…初恋の人だった?」 「えっ?あー…どうかな?顔…わからないし…」 「名前とか聞かなかったの?」 「聞いてないわよ…」 「そっか…でも…あのおじさん…ママの事…好きかも… 多分…絶対…初恋の人だよ… また、来年 会ったら 色々 聞いてみよ~ でも、パパにはナイショだね… パパ、ヤキモチやくよね… でも、何か 不思議だな… おじさん…初めて会ったとは思えない… 前にも会ったような…」 乃愛の言葉を聞いて 私は 離れて住んでいても 血を分けた親子なんだと改めて実感していた。 もう 今年を最後にと思って心に決めていた事が 予期せぬ展開に 驚きと嬉しさが 入り交じり これから どうなるんだろう…という 期待と不安も 正直 心の中で思っていた。 もし、会えても もう冬馬の顔を 見る事は出来ない。 それは、それで悲しいが 冬馬の顔も声も仕草も 頭の中に鮮明に残っている。 私の目が 見えなくなったのは 罰? それとも 生まれ持った宿命で 失明は 生まれた時から もう、既に決まってたのかもしれない。 その宿命に 神様は 冬馬との出逢いを 私に 最大の贈り物をしてくれたのかもしれない… 冬馬のようなポジティブな性格なら 多分…贈り物と 強く思えるのに 私は、罰なのか…贈り物なのか… ふと、考えてしまう。 だが、私は後悔していない。 冬馬と出逢った事 冬馬と出逢ったから 乃愛を授かり 冬馬と出逢ったから 今がある… 浩二と香織さんの関係も 冬馬が居たから 乗り越えられ 香織さんの子供達も 本当の子供のように 受けいられる事もできた。
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