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「あれ、篠田君が遅番なの珍しいね」
次の日、社員の村上さんが、物珍しいものでも見るように笑った。
「どうも…尾崎さんに頼まれて」
「尾崎君かぁ。また浮気バレて彼女ともめてるらしいねぇ、彼女もさっさと別れればいいのにねぇ」
「そうですねぇ…俺はなんとも言えませんけど」
俺はこの人がちょっと苦手だ。
「あら、篠田君だってまた主婦からアドレス渡されたって聞いたけど?」
これ。
耳が早いというか
噂好きと言うか。
「…マダムは渡すことを楽しんでるんです。俺を好きな訳じゃない」
「…かー、20歳の台詞とは思えませんな。流石大黒柱」
悪気はないんだろうけど。
流石に少し苛っとして、口を開きかけた時だった。
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