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1560年、越後(新潟県)にある。坂戸城に、一人の男が、息を切らしながら走って来た。
「はぁ~はぁ~た、大変だ~か、兼豊(かねとよ)はいるか?」
その時、兼豊(兼続の父)と呼ばれた男が、杓を持って現れた。杓の中には、水が入っていた。
「どうしたんじゃ政直(まさなお)?まぁ話は、後じゃまずは水を飲め!」
杓を渡されると、すぐに飲み干し、話始めた。
「兼豊!子供が生まれた!お前の子が生まれたんだよ!」
城内は、政直の衝撃発言にざわめき始めた。
「なんだと?それはまことか!」
「ああ、まことだ!」
兼豊は、嬉しさのあまりその場で、飛び跳ねたりして喜んだ。
すると、その騒ぎを聞き付け、坂戸城の城主、長尾政景(ながお まさかげ)がやって来た。
「一体、何の騒ぎだ?」
隣にいた家臣に、騒ぎの全貌を聞くと、兼豊を呼び付けた。
「兼豊よ…何をしている?はよ、行って子の顔を見てこい!」
「政景様、ありがとうございます!」
城主のお許しも、出て兼豊は、城を飛び出して家に向かった。
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