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すぐそばから、きき覚えのある声がした。
「お、おまえっ・・・・」
シエルはその声の主がすぐにわかった。
先日、いきなり村におとずれた
あの中年男性だ。
「はやくっ・・・縄ほどけ・・!!」
「おやおや ? ずいぶん疲れてるみたい
だね。はははは。まあ、そうあせるな。
目隠しくらいはとってやるよ」
中年男性はシエルの目をおおっている
黒い布に手をかけた。
「ああ、でも驚きすぎてあまり大きな声
だすなよ。くく」
そう言って、目隠しはとられた。
真っ暗だった視界に光がさしこみ
眩しくて、なかなか目があけきれない。
何度か深く瞬きをして、無理矢理目を
ひらいた・・・・。
「・・っ ! ?」
シエルは、声にならないほどの驚きで
目を大きくみひらいた。
目の前に広がる光景は、まだおさない
シエルには理解ができなかった。
暗闇の洞穴のなか、はるか上にあいている
隙間から月明かりがさしこみ
かすかにみえるそれは
とても大きな岩に、札のようなものが
いくつもつけられている。
その周りには手足をしばられ弱りきった
村人たちが、無惨にも倒れ込んでいた。
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