第一章・・・消えた国

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すぐそばから、きき覚えのある声がした。 「お、おまえっ・・・・」 シエルはその声の主がすぐにわかった。 先日、いきなり村におとずれた あの中年男性だ。 「はやくっ・・・縄ほどけ・・!!」 「おやおや ? ずいぶん疲れてるみたい だね。はははは。まあ、そうあせるな。 目隠しくらいはとってやるよ」 中年男性はシエルの目をおおっている 黒い布に手をかけた。 「ああ、でも驚きすぎてあまり大きな声 だすなよ。くく」 そう言って、目隠しはとられた。 真っ暗だった視界に光がさしこみ 眩しくて、なかなか目があけきれない。 何度か深く瞬きをして、無理矢理目を ひらいた・・・・。 「・・っ ! ?」 シエルは、声にならないほどの驚きで 目を大きくみひらいた。 目の前に広がる光景は、まだおさない シエルには理解ができなかった。 暗闇の洞穴のなか、はるか上にあいている 隙間から月明かりがさしこみ かすかにみえるそれは とても大きな岩に、札のようなものが いくつもつけられている。 その周りには手足をしばられ弱りきった 村人たちが、無惨にも倒れ込んでいた。
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