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―Scene 2―
あれから、会ってない。
会う用事もない。
会えるのはあのひとだけ。
たとえ用事がなくても。
何もかも、残ってる。
波の音も、
見上げた星も、
バラ色の朝焼けに上る朝日も。
リードする手のぬくもりも、
甲板で聞いた鼓動も、
困ったようにそっぽを向いた表情(かお)も。
そう。
あの日のことは、全部。
なのに
シンデレラの時間が終わって、
あたしはあたしに戻ってる。
これがあたし。
いつものあたし。
なにも変わらない毎日。
もう、あのことは遠い。
遠くて、夢みたいで…ううん、夢なのかもしれない。
あんなに嬉しくて幸せで、あたしには似合わないくらいで。
ホントのことだなんて信じられない。
……信じられない……
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