落ちこぼれ少女の日常

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「レイナちゃん…また遅刻だよ…」 片手を腰にあてて溜め息混じりに言う若い様に見える男性…イリュージョンなどの錯覚を扱う魔術担当の先生で生活係担当のティーゲル=ヴァーンズ先生だった。 ゲゲっ…まさか普通にいるとは思わなかった… あの根暗なティーゲル先生がこんな朝早くにいるなんて… いつもアカデミーから講師をする代わりにあてがわれている教室兼自室の研究室にいつもこもりっきりだからまだ居ないと思ったのになぁ~ ティーゲル先生は見た感じ色白でひょろりとした細身の人だけど顔がいいからか若い子にも人気が高いとお姉ちゃんに聞いた事がある。 しかし年齢はそこそこ歳らしい。 もう三十代後半とも四十路という噂もある… 「レイナちゃんはこれで補習1回分の欠席になったね。授業終了後に僕の研究室に来る様に…」 {また補修だってさ…} 呆れた顔で私を見る先生にジト目で睨みつけるフィル。 「はぁい…」 私は返事する事しか出来なかった。 朝一番の授業は魔法理論。 妹のミレナはトントン拍子で私のいる初歩的な事を学ぶクラスからかなり上級のクラスに進級している。 「…そういう訳で魔術には自然に存在する力を呼び出すエレメント系の元素魔法と魔法的な上位の存在から力を借りる白魔法や黒魔法があります。これらは術者の魔力を消費する変わりに発動しますが術者の魔術の制御能力により暴走する事が…」 しかし先生も色々書きながらやたら難しい事を淡々と言うなぁ… ひたすらノンビリ黒板を眺めているだけで何となく暇な授業… とにかくもう飽きた。 {レイナが覚えないだけじゃないか?もう何度もこの講義聞いてる筈だよ…} うるさいなぁ~ 精神感応で私の考えを読み取れるフィルはいつもながら一言多いツッコミを入れる。 ファミリアーという特殊な魔力的な波長で繋がっているフィルは精神感応で私と会話出来る。 フィル自体は私と魔力的な波長が全く同じ高いレベルのファミリアーなので私の魔術の制御能力の一部を使って私以外の第三者とも会話が出来る。 フィルとは物心付く以前からの仲で魔術的な繋がりにより私のファミリアーになったみたいだけど… 何でフィルなのかは魔力的な波長が同じだからという事以外はわからない。
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