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「あの子はあなたよりfiveにふさわしいし、何より」
そこで一旦言葉を切ると、玲さんは物言いたげな私に視線を合わせて言い放った。
「あなたよりずっと、努力している」
その言葉は私の心に、突き刺さった。
努力して、fiveのメインボーカルという立場を手に入れたはずだった。
来年の春、メジャーデビューするはずだった。
でも、玲さんの言う通りだった。
きっと全てが上手くいく、と決まってから、私は努力することをやめた。
今まで積み上げてきた全てが、音を立てて崩れていく。
「納得できないなら、第一レッスン室に行きなさい。今ちょうど練習中よ。新生fiveがね」
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