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第一レッスン室。
扉の前に立つと、流れていた音が止まって、いつもレッスンをしてくれる先生の声がした。
「ストップ!ユリ?そこはそうじゃないって言ったでしょ」
カウントを刻む先生の声と、ステップを踏む音。
きっといつもみたいに見本をもう一度踊って見せているんだろう。
「はい!」
もう一度、ユリだけ!
有理ちゃんの元気な返事がした後、ステップを踏む音がする。
「んー違う!一回休憩!ちょっと考えなさい!」
これはキツい、と私は眉間にシワが寄るのを感じた。
私もよくこうやって先生に、こってりしぼられて。
返事をしなきゃいけないのに、涙がこぼれてきて、いつも上手く返事ができなかった。
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