59人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも気丈な有理ちゃんも、これには耐えられないだろう。
きっと涙声で返事を返して、
「できます!もう一回やらせて下さい!」
え、と思わず呟きが漏れる。
自分の姿が向こうに見られるのも気にせず、廊下に面した窓から、部屋を覗き込む。
有理ちゃんは泣いていなかった。
拳をギュッと握りしめて、真っ直ぐに先生を見つめていた。
「今は、休憩した方がいいから」
先生はそう言うと、手を叩いて10分休憩、と言い残して、部屋を出てくる。
慌てて違う方を向けば、私とは逆方向の廊下に消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!