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夜、デッキに出たシェーレは、
星空を見上げていた。
物音に気付き、ヘレンが部屋から顔を出す。
「シェーレ、どうしたの?」
「信長様達どうしてるかな?って思って…」
シェーレは、深いため息をついていた。
行きたくても、遠くて行けない場所。
ヘレンと2人無事に戻って来れたことすら、奇跡に近かった。
「きっと、幸せに暮らしているわよ。」
ヘレンは、お市の笑顔を思い出しながらそう言った。
2人が日本の話をすることは、
今まであまりなかった。
避けていたというわけではないが、
自然に話さなくなっていたのである。
船旅をする中、思い出に浸る時間が増えていく。
ヘレンは、シェーレの肩にもたれながら、
お市達の幸せを祈っていた。
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