0人が本棚に入れています
本棚に追加
それと同時に自分は物語の中にいると確信し、もう一度嬉しさが沸き上がってきた。
「当然よ。それに鳥かごを持ってたからすぐにわかったの。『青い鳥』のチルチルとミチルだって。」
そうトショイインが言うと、チルチルとミチルはもっとうれしくなったのか満面の笑みを浮かべた。
「さすが僕らのトモダチだっ!」
「トモダチだっ!」
二人はトショイインの手を取りぶんぶんふった。
・・・正直トショイインは今自分は夢を見ているんだと思っていた。でも、夢でもうれしかったから目一杯喜んだ。
でも、夢じゃない・・・
手から伝わってくるチルチルとミチルの暖かさ。
私は今本の中だ・・・
実感がじわじわわいてきた。
「あのね・・・トショイイン・・・お願いがあるんだ。」
二人はそっとトショイインの手を離した。
「何?なんでも聞くわよ。トモダチだもの。」
トショイインは、本当にどんなお願いもきくつもりだった。
『青い鳥』を探すことだって・・・
一緒に遊ぶことだって・・・
でも、チルチルの願い事を聞いた時その願い事を叶える事を少しためらった・・・いや、だいぶためらった。
チルチルのお願いは・・・
「ミチルと体を入れ代わってくれないかい?ミチルをトショイインとしてリアルで生きさせて欲しいんだ。」
チルチルは真剣な瞳で、トショイインをまっすぐみつめていた。
トショイインは、その願い事を聞いた時、
入れ代わりたくない・・・
と思った。これにはトショイイン自身も驚いた。
あんなに物語の世界に憧れていた自分がこんなこと思うなんて・・・
きっと、リアルの世界がつまらないってわかっているから・・・ミチルにそんな世界で生きて欲しくないと思ったんだ。
トショイインは自分に言い聞かせてからチルチルに言った。
最初のコメントを投稿しよう!