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だだっ広い草原
そこにあおむきになって倒れている女の子がいた。
髪は黒髪で
銀縁眼鏡の女の子・・・
その子は
いつも図書室に引きこもっている・・・
そう・・・
トショイインだった。
トショイインが目を覚ましたのはここへ来てだいぶたってからのことだった。
風がそよそよと吹いていた。
「うーん・・・」
トショイインは起き上がり辺りを見渡した。
辺りは若草色でぼんやりとかすんでいた。
「あれ?」
トショイインは眼鏡をはずし目をこすり、また眼鏡をかけた。
まだ、ぼんやりとしていてかすんでいた。
トショイインは眼鏡をはずしてみた。
すると今度は鮮明に、今トショイイン自身がいるこの場の景色を見ることができた。
「嘘・・・。視力が上がってる・・・?」
一面に広がるどこまでも、どこまでも続く草原にトショイインは目を疑った。
トショイインは今、何が起こっているのか理解できなかった。
しばらくして、草原の中でぼんやりと立っているとやがてトショイインは答えにたどり着いた。
「私・・・本の中にいる・・・。」
トショイインはぽつりとつぶやいた。
本の中にいる・・・
その答えにたどり着いただけでトショイインはうれしくなった。
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