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草原を走ったり
くるくると回ったり
ジャンプしたり
トショイインは笑いながらずっと頭に浮かんだ事を歌った。
「私はいーま本の中。たーのしい、たーのしい本の中。たっくさんのトモダチに会いに行こう。夢でも構わない。私はいーま、しぃーあわせっ」
トショイインのでたらめな歌が草原いっぱいに広がった。
それからずっとトショイインは歌って踊り続けた。
歌い疲れ柔らかい草の上に寝転んだ時、誰かの声が聞こえてきた。
だんだんとその声はトショイインに近づいていた。
トショイインは、よーく耳を澄ましてみた。
「おーいっ!トショイイーン!」
「トショイイーン!」
子供の声だった。最初の声は男の子で、後の声は女の子の声だった。
トショイインは、ゆっくりと体を起こすとすぐに二人の子供と目があった。
二人は手をつないでいて、鳥かごを持っていた。
二人はトショイインのほうに走りよって来て、嬉しそうに尋ねた。
「ねぇ。トショイインは僕らが誰かわかるかい?」
「わかるかい?」
二人はニコニコしてトショイインを見つめた。
トショイインは、二人をじっくり見た。
服装、持っているもの、年齢・・・
トショイインはニッコリと二人に微笑みかけ答えた。
「もちろん。わかるわよ。あなたが、お兄さんのチルチル。」
トショイインは男の子を指して言った。
男の子は目を輝かせ首を縦にふった。
「そして、あなたが妹さんのミチル。」
次は女の子のほうを指して言った。
二人の子供は顔を見合わせて、ニィッと笑った。
「大正解っ!僕らはトショイインが言ったようにチルチルとミチルっ!!」
「すごい、すごいっ!トショイイン大正解っ!」
チルチルとミチルに讃えられてトショイインは少し得意げになった。
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