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平和。
なんてステキな言葉なんだろう。
平らで和やか。
そんな風に過ごせるって、幸せなことなんだと思う。
けれど、現実はそう、甘く出来てはいない。
理不尽はいつも、避けようとして歩いている時に限って、こっちに向かって降ってくる。
きっと、あの日僕に降ってきた「理不尽」も、避け難い必然だったのだろう。
そして僕は、「理不尽」を受け入れた。
止まっていた歯車は、音を立てて回り出す。
噛み合ってすらいない、錆付いた歯車。
空転する歯車は、何にも害されることなく回り続ける。
そのかわり、何かに影響することはない。
そんな、ひとりぼっちの、歯車。
僕はここで、空転するだけの物語を歩み始める。
どこまで行っても、ひとりぼっちなんだろうけど。
でも、それでも。
どうしても、そんな日々が、
欲しくてならなかった。
―カチリ。
歯車の回る音。
今、聞こえた。
これから、始まるんだ。
ここから、取り戻すんだ。
"既に終わっていた物語"を。
準備は出来ている。
行くぞ。
僕は、震える足を奮い立たせ、
一歩を踏み出した。
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