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跡地
・・・違う。夢じゃない。いつも見てる類いのじゃない。
意識がある。悪夢じゃないし、目覚めたい気持ちもない。
かと言ってずっとここにいたいわけではないけれど、悪くない。
私はノートを取り出した。
ちゃんと中身は消えていない。
私はノートの続きに今までにない、過去の記録を綴り始めた。
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7/11 私はおよそ今から20年前後前に戻ってきた。
ここがどこかはまだ分からない。
でもそれはきっとこれから分かるんだと思う。
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住所すら分からない、そこはどこかも分からなかった。
でも看板にはグランドと書かれていた。
でももしあれがこの場所に関係のないものだとしたら?
やはりここは私の家の跡地なんじゃないか?
とりあえず私は跡地を出た。
後ろで彼が私の内心を悟ったのか、何か話しているが、私はその場所を後にした。
山と思われるその近辺には樹木以外何もなかった。
下り坂を降り、分かれ道などない一本道を下る。
私には両親が死ぬ以前の記憶がない。
だから通っていても懐かしむことなど何もないのだ。
だけど確実にその道には見覚えがあった。
でも私が予言出来るのは、夢に見れるのは未来じゃないか。
過去を見たことがあるというのか、と思った。
後ろではまだ彼が心の声を盗み聞きして話しかけてくる。
私は声と声以外で話す会話などしたくないのだ。
そんな私の気持ちも察しず、勝手に読み取り勝手に話を進める彼が嫌いだった。
こんなことを思った私の気持ちを読んだのか、彼は黙り込んだ。
私達は黙ってただ静寂な道を歩いていた。
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