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「社長、これ午後からの会議の資料ですから目、通しておいてくださいね」
う……。何かいつに無く馨ちゃんの目付きが怖いんですけど。
車の中で寝てたのまだ怒ってんの?
いやいやいや。
自分だって、気持ち良く寝てた人の頭叩いて起こしてくれてるじゃん。
よくやるよ。
と、そんな半逆恨みのような思考を吹き飛ばすように、馨ちゃんの手からバサリと音を立ててその資料とやらが机に置かれた。
何々?
部屋から出ていく彼の背中をチラリと見やりながら視線を落とした先。
……。
アンケート結果。男の好きなパンティーベスト……3?
……絶対ふざけてるよね、これ。
こんなんで、うちの会社大丈夫なのかね?
今、本気で心配になったよ。
てか。
やれ、レースのフリルだのティーバックだのって……。
皆わかってないよねぇ。
男なら紐パンだろ、紐パン。
横の結びをほどけば、簡単にパラダイスだよ?
よし。
次の新作は紐パンだな。
午後からの会議は紐パン談義だ。
と、心に決めた瞬間、背中に強烈な悪寒が走って、頭には馨ちゃんのあの絶対零度の笑顔が浮かんできた。
いやいや。
俺は別に個人の趣味云々じゃなく、会社の為を思ってこの議題を提示するんだよ?
馨ちゃんに文句言われる筋合いは無いし、むしろ協力してもらわないと困るくらいだ。
と、初めはそんなちょっと真面目な事を考えていた筈の俺。
……だったのに。
いつの間にやら頭の中は馨ちゃんの顔に変わって、試作品の紐パンを履かせた百花の姿でいっぱいになっていた。
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