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来た道を戻り、車に戻らなければならない。
必然的に歩くのが早い真矢と私が並んで歩き、龍と瞳が後ろを着いてくる形になる。
歩くのが遅いために、いつの間にかはんれてしまい見えなくなることがたまにある。
そのため、逸れないようにと後ろを振り返りながら前を歩く。
しかし、注意していたにも関わらず、さっきまでいた二人がいなくなっていた。
「ねぇ、二人ともいない」
「まじかよ。やってくれるよなあいつら」
真矢は、溜め息をはいた。こんなことを言ってはいるが、意外と心配をしている。
「私、電話してみる。ちょっと待って」
鞄から携帯を出して、電話帳の中から瞳の番号を呼び出す。
しばらくコール音が続くが、鞄に入れているのか気がつかない。龍に電話を入れても繋がらない。
「きっと分かれていた道があったからそこで間違えたんだ。二人とも繋がらないし……」
真矢は考える顔になり、頭を掻いた。
「とりあえず、ここで待ってても埒があかないから車に向かおう。あいつらも電話しようとするから、俺らの着信にも気づくだろ」
電話が来てから、直ぐに車で迎えに行けるように足早に来る前と向かう。
その間にも、数回掛けてみたが出ない。
車内は、静まり返っている。心配しているからなのだろう。
時計を見てもあまり時間が進んでいないのだが、とても長く感じる。
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