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吹奏楽部の新入生歓迎コンサートは想像以上にすごかった。
何がすごかったのか、それすらも分からないくらい感動する演奏だった。
「やっば…感動した」
「うん。すごすぎる…」
私も七瀬も、それ以上の言葉が出てこなかった。
「ねぇ、七瀬」
「うん?」
「私、吹奏楽部入る」
「…えっ?!」
私自身も、自分の口から出た言葉に驚いた。
「もう、逃げるのはやーめた」
自分の中の何かがふっきれたような気がした。
今までの私はつらいことから逃げてるだけだった。
だけど、今日の演奏を聴いて決心がついた。
“もう、逃げない。”
これが吹奏楽との出逢いだった。
「七瀬、がんばろ!」
七瀬はわけも分からずぽかーんとしていたが、私の決心が通じたのか
「うん!」
七瀬らしいいつもの笑顔でそう頷いた。
しかしこのことがきっかけで、私を取り巻く環境は大きく変化していくのだった…
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