序章

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今年もまた、桜の季節がやってきた。 社会人5年生となった今でも、桜の咲く頃になると自然と高校時代のことを思い出す。 看護師である私は、暇さえあればいつも、ナースステーションの窓から大きな桜の木を眺めていた。 今頃、お兄ちゃんは何してるんだろう… なんてことを考えながら。 お兄ちゃんにもこの桜の木、ちゃんと見えてるのかな。 私の頭の中には、お兄ちゃんの笑顔がはっきりと浮かんだ。 だけど、お兄ちゃんはもうこの世には存在しない。 お兄ちゃんの時間は、16歳で止まったままなんだ…
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