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「俺は死なないよ。
どんなにつらい治療でも、必ず耐え抜いてみせるから」
お兄ちゃんは力強く言った。
その言葉は、私の心の中に深く刻み込まれた。
「お兄ちゃん…」
お兄ちゃんの精神力の強さには驚かされた。
その時
私はお兄ちゃんに体を引き寄せられ、そのまま抱きしめられた。
「お前にはまたたくさん迷惑かけてしまうと思う。
たくさん我慢させることになってしまうと思う。
だけどもう少しだけ…
もう少しだけ協力してくれないか?
俺にはお前が必要だから…」
お兄ちゃんの声が体全体に響きわたった。
お兄ちゃんとの距離がこんなにも近くなったのは、この時が初めてだった。
全身で感じる、お兄ちゃんのぬくもり。
人間がこんなにも温かいなんて、今まで全く知らなかった。
本当は私がお兄ちゃんを勇気づけなくてはいけない立場なのに、逆にお兄ちゃんが私を勇気づけてくれたような気がする。
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