出逢い

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―――11年前の春。 当時、私はまだ高校生になったばかりだった。 県内でも名門校といわれる高校にギリギリセーフで合格した私は、期待と不安を背負いながら校門をくぐった。 入試で来たときは緊張していてよく分からなかったけど、今改めて校舎を見てみるとやっぱり凄い。 おととし改築されたばかりのお城みたいな校舎。 圧倒されるような存在感の中にも、名門校らしい清楚な雰囲気が漂っている。 今日からついに私もここの生徒なんだ。 そう思ったら、自然と顔の筋肉が緩んでくる。 不安もたくさんあるけど、それ以上に楽しみで楽しみで仕方がない! 人目を気にせずに、私は一人舞い上がっていた。
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