題名のない物語

Why？

こんな幸せな時間は続くって誰でも思うよね。でも楽しい時間は早く過ぎていくように幸せな時間も去っていく。多分原因は俺だ。俺はまだガキで自分がどんなに幸せでどんなに恵まれていたかわからなかった。だから何か買えなかったり、出来なかったりしたら「うちは貧乏だ」とか言ってたからだ。神さまは俺にわかって欲しかったんだと思う。自分が、俺がどんなに幸せだったのかを。二年になったある日俺はなんとなくわかってた。というか感じてたんだな。まさか思っていたことが現実になるなんて誰も思わないだろ？思いたくもないしね。電話がかかってきた。転勤という二文字を伝えるために。俺はたった二、三年しかここいなかったが、自分の魂が一番休めるところだった。ラッキーがいたからだよもちろん。俺は当たり前だが泣いたね。止めたくない涙だったし。止まらねーだろーしね。わんわんビービー泣いた。ま、泣いてどうにかなるならいいのにな。学校でお別れ会をやったが泣かなかった。前の日に涙は出し切ったからな。家に帰ってラッキーのところに行った。親が片付けをしていたがおかまいなしにラッキーと遊んでいた。車に乗るその時まで。俺は最後に「また遊びに来る」とか「じゃーな」って言ったんだと思う。ラッキーは車が見えなくなるまでずっと見ていたし俺も見てた。