1章

7/7
前へ
/40ページ
次へ
コンビニの前では先程の女の子が待っていた。 『だ、大丈夫ですか?』 『大丈夫だよ。俺1発も殴られてないからさ』 『え?』 『まだ意識ないと思うけど、大丈夫だよ。君が心配する必要ないよ』 すると女の子は用意していたハンカチをカバンにしまった。 そして自然に駅まで並んで歩き始めた。 『あ、あのありがとうございます』 『あぁ。別にいいよ。それより名前なんていうの?何年?』 俺が聞くと女の子はちょっと驚いた顔をしたあと、フフッと笑い話した。 『私は鈴宮結衣。3年だよ。君は?』 『俺は武田雅人。1年。てか、先輩だったんだ。タメ口すんません』 『ううん。なんか今更変えるのは変だからいいよ。それより武田君けんか強いんだね』 『ボクシングやってるからね。あれみたいに男気がねぇやつら許せないんだよね』 何気ない会話だったが楽しかった。異性と話して楽しかったのは久しぶりだった。それに可愛かったし。 駅で別れてからそう思った。 それより鈴宮結衣。どっかで聞いたな………駄目だ。思い出せない。 俺はボクシングジムに向かった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加