プロローグ

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「……分かりました。精一杯努力して見せます。ですが、どうやって演奏を聴かせるつもりでしょうか?」 私は聞いた。演奏するにしても場所が無ければ意味が無い。まさか往来のど真ん中でやるわけではあるまい。 「その酒場では、毎日一回ずつ演奏する時間がありましてな。どうやらあなたはまだ楽器を演奏出来ないみたいなので、2週間後……でどうでしょうか?」 そんなに待てるのか、と私は少し疑問に思った。早くどうにかしたいのに二週間というのは長くないんじゃないのか? しかし、練習期間をくれているんだ。これはありがたく思うしかないと思い、 「分かりました」 と、承諾した。承諾してしまったのだ。 「では、日程が近くなると、またここに訪れますので……」 そういい、街の偉い人は帰って行った。
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