テスト開始日

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はぁ…。 「俺は、楽しみはとっときたいタイプなのにな。」 この状況を一発逆転できる隠し玉…。 23568人分もの順位をひっくり返す隠し玉…。 俺は、 手をゆっくりポッケに突っ込み“超能力のアメ”を取り出し口に含めた。 「止める気は…ないんだな。名無」 「もちろんです。力を使わないと私に勝機はないですからね。」 ふふっ、 っと名無はあざ笑った。 相当な自信があるのか、 自分はイレギュラーさえなければ決して負けない。という… “超能力のアメ”はまるで消える様に口から溶けてなくなった。 “超能力のアメ”は見かけはみんな同じで区別がつかない。 そのアメは口に含めた時からではなく、 能力は使って初めてなんの能力かわかる。 初撃で落とす!! 俺は能力を躊躇なく初撃から全力で使った! これで、 ハズレだったら笑えねぇ…、 頼むぜ! 『ザン!ザン!』 目では見えない何かが名無を襲った。 俺の超能力だろう“何か”は名無の体を切り裂いた。 血が舞う…。 内臓は腹部からただれ、目は上を向いていた…。 な、名無が死んだ…? あの“最強”が…? 頭の中で壊れた。 同時に抑えきれない感情が流れてくる。 嬉しさと喜び、罪悪感と心酔、は? はは? 死んだ? “名無太郎”が? “最強”が? 「はっはは、ははは!」 名無を殺した。 “最強”ってこんなもんなのか…? 確かに初撃だったけど… 引っかかる。 殺された時の名無の顔… 確かに笑ってた。 死ぬ間際なのに… 「危ないですね…。危うく死にかけましたよ。 それにしても、あのレベル5相当の能力者ですか。」 名無の声? おかしいな殺したはずなのに。 俺の頭はすぐに冷静さを取り戻した。 名無が…2人!? 俺が殺した“はずだった”名無は蜃気楼の様にユラユラしたと思った時には消えていた…。 「私に“火炎の応用”を使わせるなんて久しぶりですね…。それに、その能力…。」 俺の超能力は、 “大気操作” 推定レベル“5” そして、 蜃気楼の名無を消したのが“風の剣”。 レベル4以上だと全体の3000分の1…。 簡単に言ったら10校に1人いるかいないかくらいの確率だろう…。 所詮確率の域を出ないのだが…。 レベルというのは、 その者の才能と相性の問題であって、 極端すぎる例だと学校300人全員がレベル5というのもありえるのだ。 これは、 ひょっとすると本当に形勢逆転かぁ…?
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