一回戦【開始】

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――校舎―― ――桐生翔平―― ドクン…ドクン… 心臓の音が聞こえる。 動悸が早い。 緊張が目にわかるくらいだった。 今は、 一階の廊下の両端にウチらの学校と敵さんが待機してる状態。 校内放送がかかるとスタートらしい…。 こちらの先頭には、 校内ランキング3位の安倍晴明とランキング4位の佐藤甘味が立っている。 どうやら、 一回戦の指揮はこの2人が取るみたいだ。 なんでかって、 予選終了日。 名無と十六夜が体育館のステージ上で派手にやり合った後、名無は『“一回戦”の布陣や戦略化はあなた方に任せます。』 というやり取りをしていたから…。 晴明や、佐藤は さっきもみんなに“一回戦”の動きについて話ていたし、 まぁ 俺は全く聞いてなかったけど…。 1位の十六夜と、2位の名無はというと… 自分たちで行動するらしい。 聞いた話、 相手の高校も大した事ないらしいから名無や、十六夜はこれだけの戦力で充分だと思ったんだろう。 とはいえ、 校内ランキング1位と2位が自由行動。 でもまぁ普段の、 学校生活でもそうだったしな。 集団行動ができないタイプなんだろうな 「あの、桐生はん少しお願いがあるねんけど…。」 名無たちに気をとられていたら先頭にいた晴明がこちらまできていた 「え?」 了承するか断るか考える前にお願いを聞くことにした。 「この一回戦、僕と佐藤はんと一緒にいて欲しいんやけど…?」 え? そんなことがお願い…? そんなん逆にこっちがお願いしたいくらいだってのに。 答えは決まってる。 「わかった。」 「ほな、ありがとなー。」 ニコッと笑い晴明は元の先頭の位置に戻っていった。 そろそろアナウンスが流れるか…。 壁に掛けてある時計を見ると、開始まであと数秒と、言った所だった。 『ピンポンパンポーン一回戦開始してください。』 きた! 放送と共にざわめく人々の合間を縫って晴明と佐藤の後ろにいく。 校内ランキング3位と4位の2人がいれば簡単にはやらないだろう…。 !!! 「みなはんは階段で上に上がって“棒”の破壊を頼んだで!!奴さんは僕と佐藤はんと桐生はんで食い止めるでぇ!!!ほら桐生はんボォっとしてへんで突っ込むで!」 晴明の見事な指揮にみんなは従い、次々と階段を駆け上がってゆく。 って、 一階を佐藤と晴明と俺で食い止めるって? マジ…?
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