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言い訳もできず、廊下を駆ける晴明の後ろにピタリとくっつくように走る。
「向こうも階段を上がる気やねなら、」
晴明は走る足を止め、手の平を真っ直ぐに向ける。
その方向は敵生徒…。
「佐藤はん、桐生はん少し道を空けてくれます!!」
佐藤と俺は何も言わず阿吽の呼吸で廊下の右端に身を潜める。
晴明の手からは、
水が逆巻き龍の形を帯びていく。
『ザザザザザザ!!』
「いくで、水霊術…槍龍。」
晴明が走りながらそう呟いたと思ったら、
突き出した手のひらから直径2m。
長さ10m程の凶悪な水龍が敵生徒の集団に襲いかかる。
「すげぇ……。」
能力なのだろうか“ソレ”は廊下を猛烈なスピードで突き進み、その先は…………
『ババァァン!!』
水龍が炸裂した…。
晴明が放った水龍は廊下の先の壁に当たったのか、それとも生徒に当たったのかはわからない…。
「ちょっと逃がしてもうたな…。」
廊下の先が見えない…。
水龍が廊下を破壊した事で辺りにはコンクリートの煙が漂い、廊下の先が全く見えない…。
廊下の煙が払われると脅えた生徒達の姿が見えた。
「さぁ、ここで全滅させてまおうか…。何人かは上に行ってもうたみたいねんけど。」
晴明は軽くそう言った。
でも、
300人対3人って…。
1人100人目標ですか、
おいおいツラいな。
「ほな、殲滅開始や。」
晴明の静かな掛け声が一階の廊下に響いた………。
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