一回戦【開始】

3/6
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
言い訳もできず、廊下を駆ける晴明の後ろにピタリとくっつくように走る。 「向こうも階段を上がる気やねなら、」 晴明は走る足を止め、手の平を真っ直ぐに向ける。 その方向は敵生徒…。 「佐藤はん、桐生はん少し道を空けてくれます!!」 佐藤と俺は何も言わず阿吽の呼吸で廊下の右端に身を潜める。 晴明の手からは、 水が逆巻き龍の形を帯びていく。 『ザザザザザザ!!』 「いくで、水霊術…槍龍。」 晴明が走りながらそう呟いたと思ったら、 突き出した手のひらから直径2m。 長さ10m程の凶悪な水龍が敵生徒の集団に襲いかかる。 「すげぇ……。」 能力なのだろうか“ソレ”は廊下を猛烈なスピードで突き進み、その先は………… 『ババァァン!!』 水龍が炸裂した…。 晴明が放った水龍は廊下の先の壁に当たったのか、それとも生徒に当たったのかはわからない…。 「ちょっと逃がしてもうたな…。」 廊下の先が見えない…。 水龍が廊下を破壊した事で辺りにはコンクリートの煙が漂い、廊下の先が全く見えない…。 廊下の煙が払われると脅えた生徒達の姿が見えた。 「さぁ、ここで全滅させてまおうか…。何人かは上に行ってもうたみたいねんけど。」 晴明は軽くそう言った。 でも、 300人対3人って…。 1人100人目標ですか、 おいおいツラいな。 「ほな、殲滅開始や。」 晴明の静かな掛け声が一階の廊下に響いた………。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!