一回戦【開始】

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――2階―― ――名無太郎―― 「ここも違いましたか…。」 やはりそう簡単には見つからないですか。 ここが校舎最後の教室。 てっきりここに“棒”があるのかと思ったんですけど、どこか見落としが…? ……それはないですね。 一つ一つの教室、トイレは入念に探しました。 あるとするなら、 教室以外の場所…。 「ここにいましたか。名無さん…私です。」 教室の中にいた私を呼ぶ女性の声に振り返ると、教室のドアに短髪黒髪の女性が立っていた。 この声は…。 「“七つの大罪”…神代と同じ鷺ノ宮学園の人間ですか。私に何か用ですか?」 そう、 “七つの大罪”…。 模擬テスト第二位の神代が総統する暗部組織。 鷺ノ宮学園在学の生徒から絞り、 レベル5が1人、 レベル4が6人の合計7人で構成されたメンバー。 その目的が…… この国家を潰す事。 神代はこの国の闇に喰われた罪人の1人と自負してるみたいですが、 実際は闇に喰われた被害者の1人にすぎない…。 「今日は名無さんに伝えたい事がありまして…。鷺ノ宮学園はこの一回戦を敗北するつもりです。」 並みの高校なら神代1人でも、全滅させられる力をもっている…。 これが示す意味は。 国家に反乱するため一回戦で試験を抜ける事…。 「もう動くんですね…」 静かに言った。 「お姉様は私達“七つの大罪”で国家に反旗を掲げるつもりです。ですから、もしこのテストで……」 「わかっています。あなた方の邪魔はするつもりはありません。神代は…本気なんですね………。」 「……はい。それと、これはお姉様からの伝言です。“被験者”が活動を開始したと…。」 この状況で“被験者”の影がちらつき始めましたか。 「そうですか…。」 「それでは、失礼します。」 彼女はそう言うと次の瞬間には消えていた。 “瞬間移動系”の能力者ですか。 それもレベル4。 いい素材が揃ってるじゃないですか。 “被験者”が動いたのなら一回戦は後回しに考えた方が良さそうですか……。
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